植物ホルモンのアブシジン酸 (ABA) は、植物の非生物的ストレス適応における重要な調節因子です。ABI1 のような共受容体 PP2C タンパク質の制御は、ABA シグナル伝達の中心ハブです。標準的な条件下では、ABI1 はプロテインキナーゼ SnRK2 に結合し、その活性を阻害します。受容体タンパク質PYR1/PYLに結合したABAは、ABI1の標的化においてSnRK2と競合し、それによってSnRK2を放出し、ABA応答を活性化する。
中国科学院遺伝発生生物学研究所のXie Qi教授率いる研究チームは、ABAシグナル伝達を調節する翻訳後修飾機構であるユビキチン化を長年研究してきた。彼らの以前の研究では、E2様タンパク質VPS23のユビキチン化によって媒介されるPYL4のエンドサイトーシスと、ABAがXBAT35によるVPS23Aの分解を促進し、それによってABA受容体PYL4に対する阻害効果が解除されることが明らかになった。しかし、ABAシグナル伝達にユビキチン化に必要な特定のE2タンパク質が関与しているかどうか、またABAシグナル伝達がどのようにユビキチン化を調節するのかはまだ完全には理解されていない。
最近、彼らは植物の乾燥耐性とABA応答を正に制御する特定のE2酵素UBC27を同定した。IP/MS分析により、ABA共受容体ABI1とRING型E3リガーゼAIRP3がUBC27の相互作用タンパク質であることが判明した。
彼らは、UBC27がABI1と相互作用してその分解を促進し、AIRP3のE3活性を活性化することを発見した。AIRP3 は ABI1 の E3 リガーゼとして機能します。
さらに、ABI1 は UBC27 および AIRP3 のエピスタシスを発揮しますが、AIRP3 の機能は UBC27 に依存します。さらに、ABA 処理は UBC27 の発現を誘導し、UBC27 の分解を阻害し、UBC27 と ABI1 の間の相互作用を強化します。
これらの結果は、ABI1 の分解における新しい E2-E3 複合体と、ユビキチン化システムによる ABA シグナル伝達の重要かつ複雑な制御を明らかにします。
論文のタイトルは「UBC27-AIRP3ユビキチン化複合体はシロイヌナズナにおけるABI1の分解を促進することでABAシグナル伝達を制御する」です。2020 年 10 月 19 日に PNAS でオンライン公開されました。
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